チョコレートが発酵食品ということはご存じでしょうか。
発酵したカカオ豆を使用し、さまざまな工程を経てチョコレートができあがります。
この記事では、カカオ豆がチョコレートになるまでの詳しい工程と、実際にチョコレートが出来るまでの製造工程を見学できるスポットなどを紹介します。
カカオがチョコレートになるまで
チョコレートはカカオ豆から作られます。カカオ豆は、カカオという果実の中にある種のことです。
カカオの樹は”カカオベルト”と呼ばれる高温多湿の熱帯地域でしかうまく育つことが出来ません。カカオベルトとは赤道を軸に北緯20度、南緯20度にあたる地域です。カカオの樹はこの限られた地域で、さらに一定の気候条件のもとでのみ生育します。代表的な国は、コートジボワール、ガーナ、エクアドルなどがあります。
収穫されたカカオ豆は発酵、乾燥までを産地で行い出荷されます。ここから詳しくチョコレートが出来るまでを見ていきましょう。
チョコレートの製造工程
生産国でカカオを発酵から乾燥まで行い出来たカカオ豆を、消費国でチョコレートに加工します。
メーカーによって製造工程に違いはありますが、一例を詳しく解説します。
発酵
カカオの収穫後、果肉に包まれたままのカカオ豆をバナナの葉で覆ったり、木箱に入れるなどして数日間放置し発酵させます。
カカオ豆が果肉に包まれていることで酸素が少ない状態になります。ここで”酵母”や”乳酸菌”が活発に働き果肉からエタノールが発生します。
その後果肉が液体化し、カカオ豆のもとに空気が入ることで”酢酸菌”が増殖していきます。
これらの細菌の働きで発熱がおこり、カカオ豆に糖やアミノ酸が生成されます。
ここでできる糖やアミノ酸がチョコレートの香りや味を左右することから、チョコレート作りにおいて発酵はとても重要な工程のひとつです。
乾燥
発酵が終わったカカオ豆は、天日乾燥や機械乾燥します。水分量が7%未満になるまで乾燥させることでカビの発生を防いだり発酵をとめる効果があります。
消費国へ輸送
ゴミや異物を取り除き品質検査を行い、麻袋などに袋詰めし出荷します。ここまでがカカオ豆の生産国での作業です。
選別
生産国から届いたカカオ豆を入念に検品します。不純物や異物がないかチェックし良質なカカオ豆を選別していきます。
焙煎
選別されたカカオ豆を焙煎(ロースト)します。焙煎とは豆類を炒ることです。この焙煎によりチョコレートの香味が決まります。
焙煎する時間や温度によって味が変わるので、使用するカカオ豆の特徴にあった焙煎方法を用いることよりおいしさを引き出します。
焙煎には”豆ロースト法”と”ニブロースト法”があります。
豆ロースト法:カカオ豆をそのまま炒る
ニブロースト法:カカオ豆の皮部分を取り除き、カカオニブの状態にして炒る
分離・ブレンド
カカオ豆の皮を取り除き、カカオニブを取り出します。前述のニブロースト法の場合、分離した後に焙煎を行います。求める風味に合わせて複数の産地のカカオニブをブレンドします。
磨砕・混合
カカオニブをすりつぶし液体状にします。カカオニブには、ココアバターと呼ばれる脂肪分が含まれています。これをすりつぶすことでドロドロの液体状にしたものがカカオマスです。
ここで砂糖やミルクなどの材料を混ぜ合わせます。
コンチング
コンチングでは、”コンチェ”という機械を使ってチョコレート生地を長時間練り上げます。長時間練り上げることで生地が粘土化し、成分が均一に整っていきます。コンチングをおこなうことで口溶けのよいなめらかなチョコレート生地ができあがるのです。
調温
テンパリングとも呼ばれ、チョコレートの製造工程の中でも重要な作業のひとつです。温度調整によりチョコレートに含まれるカカオバターの結晶を安定した形に統一します。この作業を行うことで、艶があり口溶けのよいチョコレートに仕上がります。
成形・型抜き
チョコレートを型に流し込み、気泡が入らないよう空気を抜きます。その後、急激に冷えることがないよう温度調整しながら冷やします。固まったチョコレートを型抜きします。テンパリングがうまくいっているときれいに型抜きができます。
チョコレートの工場見学
【北海道】ロイズカカオ&チョコレートタウン
2023年8月にオープンしました。北海道のロイズタウン工場に併設されており、チョコレートの製造工程やワークショップとして板チョコレートのアレンジを体験できます。
【東京】ダンデライオンチョコレート ファクトリー&カフェ蔵前
Bean to Barで作られるチョコレートが有名なダンデライオンチョコレートの第一号店。店内でチョコレートを製造工程を見ながらカフェを楽しむことも出来ます。カカオニブを使ったコーラやコーヒーなどここでしか味わえないメニューも魅力のひとつです。
【大阪】明治なるほどファクトリー大阪
巨大な板チョコレートのモニュメントが目印です。チョコレートの製造工程や明治のチョコレート商品の製造ラインが見られます。明治なるほどファクトリーは埼玉県坂戸市と静岡県藤枝市にもあります。
まとめ
限られた条件で育つカカオ豆から、さまざまな工程を経てチョコレートができていることがわかりました。もっと知りたい方は、工場見学にもぜひ足を運んでみてください。